東京下町にある超隠れ処、マルチ焼酎バー[秘-蔵]。ここで夜な夜な行われている焼酎研究の数々。そんな研究レポートを元に、わかりやすく焼酎について話していくブログです☆

☆『不世出』




酒 名:不世出
読仮名:ふせいしゅつ
種 類:麦焼酎
度 数:25度
麹 種:麦麹(白麹菌)
産 地:大分県臼杵市
酒造元:久家本店


☆今夜の一本
マスター:
さてakiくん
今夜もまた何か焼酎を紹介しようかな。
何かリクエストあったら言って。

a k i :
そうですね〜
最近けっこう麦も飲むんで
何か麦焼酎で美味しいのあったら
紹介してほしいんですけど。

マスター:
麦ね。
ん〜、美味しいのは色々あるけど
最近仕入れたやつで気に入ってるのあるから
それで良いかな。

a k i :
マスターが気に入る銘柄ですか
気になりますね。
じゃあそれお願いしますよ。

マスター:
そう?
じゃあ今夜はこの
『不世出』を紹介しようか。


☆産地について
a k i :
『不世出』?
聞いたことない銘柄ですね〜
これってどこの焼酎なんですか?

マスター:
まぁ聞いたことないのも無理ないかな。
色々話すことはあるけど
まずは産地だね。
この『不世出』はね
大分県の臼杵市って所にある
[久家本店]という蔵元さんが造ってるんだ。

a k i :
なるほど
大分は麦焼酎けっこう有名ですからね。
あの『二階堂』なんかもなにげに大分ですし。
でも蔵元さんは聞いたことないなぁ。

マスター:
そうだね。
大分麦焼酎ってけっこう有名だよね。
あと、蔵元さんの名前を聞いたことないのも
確かに無理ないかな。
あとで詳しく紹介するけど
実は元々日本酒を造ってた蔵元さんなんだよね。
もちろん今は焼酎もしっかり造ってるんだけど
主軸は日本酒の銘柄みたい。

a k i :
へぇ〜、日本酒も造ってる蔵なんですか〜
僕は日本酒全然詳しくないから
そりゃ確かに知らなくても無理ないかな・・・。

マスター:
で、この蔵元がある
大分県の臼杵市って所なんだけど
県の東海岸に位置する市で
位置的にも近い大分都市圏に含まれ
大分市との関係が深いみたいだね。
そんな臼杵市は色々と有名なものがあって
まず、国宝にもなってる
臼杵石仏ってのがあるんだ。
手元の資料によると
平安時代の後期から鎌倉時代にかけて
創られたものらしくて
規模や数量、彫刻の質の高さなど
あらゆる面において
全国でも類い稀なるものらしいよ。

a k i :
石仏ですか〜
ってことは仏教とか盛んだったのかな。
国宝になるくらいだから
相当すごい石仏なんでしょうね。

マスター:
それとこの辺りっていうのは
江戸の昔に270年も続いたっていう
藩主稲葉家の城下町だったんだって。
その武家屋敷なんかの町並みっていうのでも
けっこう知られてるみたいだね。
さらにもう一つ有名なのが
なにげに醤油の製造なんだって。
武家の文化も有名な歴史の一つなんだけど
それだけじゃなくて
醸造業を中心とした商工業で栄えてたっていうのも
この臼杵を語るのに欠かせない
歴史の一つみたいだね。
[久家本店]さんも実は元々
そういった醸造蔵から始まったみたいで
この地の歴史に深く結びついてるんじゃないかな。

a k i :
ほうほう。
醤油の製造で有名なんですね〜
しかも古くからの歴史あるものなんですね。
確かに醤油も醗酵食品ですから
同じ醗酵の文化で生み出される
日本酒や焼酎に通ずるものはあるんでしょうね。


☆蔵元について
マスター:
で、そんな臼杵市に蔵を構える
[久家本店]さんなんだけど
さっきも言ったように
元々は臼杵で醸造業をしていたみたいで
1860年に藩から醸造蔵をもらって
日本酒を造り始めたのを創業としてるんだって。
そのとき造ってたのが
『日の出鶴』っていうらしいよ。

a k i :
江戸の昔から続いてる蔵なんですか
ずいぶん歴史のある蔵なんですね〜。
しかも藩主からもらった蔵ですよね
まさにお墨付きですね。

マスター:
そのあともずっと清酒一筋なんだけどね。
ちなみに現在の看板銘柄は
『一の井手』っていう銘柄らしいんだけど
大正8年に今までの銘柄を
[久家本店]さんの酒造場が位置する
末広川の河口から最初の井手
つまり“一の井手”っていう
地名に因んだものに改めたんだって。
それまで樽に詰めていたのを
瓶詰めに切り替えたのもこの時なんだってね。

a k i :
けっこう長いこと清酒一本なんですね。
もしかして焼酎製造が始まったのって
ずいぶん最近だったりするんですか?

マスター:
そうだね・・・
んと、手元の資料によると
社名を「合名会社久家本店」にしたのが
昭和8年。
そのあと戦争とかも乗り越えてるし
恐らく焼酎を造り始めたのは
昭和53年の麦焼酎『石仏』っていう
銘柄からじゃないかな。

a k i :
昭和53年ですか。
そう言われると
焼酎造りに関しては
そこまで歴史が深いわけではなさそうですね。

マスター:
ん〜、まぁ確かに
平成14年に『常蔵』って麦焼酎を出すまで
目立って新しい銘柄は出してなかったみたいだけどね。
でもその『常蔵』っていうのは
地元臼杵産の竹炭を濾過剤に使ったっていう
ちょっとこだわりもあったり
最近では平成16年に出した
『ほげほっぽ』っていう銘柄で
地元産の裸麦を使うっていう
ちょっと個性の光る酒造りをしてきてて
熊本国税局酒類鑑評会っていうので
清酒とともに焼酎も優等賞を取るほど
力を入れて造ってるみたいだよ。

a k i :
なるほど
焼酎造りに関しては新進気鋭な感じだけど
清酒造りのノウハウもあるし
造りへのこだわりや
ユニークな発想もあるし
これからも期待できる蔵元さん
ってことですかね。

マスター:
そうだね。
清酒造りに関してはかなり歴史があるし
その技を応用した焼酎造りっていうのも
なかなかこだわりがあるんじゃないかな。
それと銘柄名に国宝でもある“石仏”を取り入れたり
地産地消の精神で地元のものを使って造ったり
そういった地元臼杵の歴史や文化の中に息づく
酒造りをしている蔵元さんなんだね。


☆製作エピードや名前の由来など
マスター:
そんな[久家本店]さんが造る
『不世出』なんだけど
実はインターネットの楽天市場にある
とあるショップの限定酒なんだ。
他に卸してるところがあるかはわからないけど
そのショップと[久家本店]さんが共同で開発した
って説明してあったから
ほぼプライベートブランドのようなものだろうね。

a k i :
なるほど〜
通りで店頭では見ないし
雑誌とかカタログにも載らないわけだ〜。
ちょっとあとで調べてみますよ。

マスター:
確かにまだ雑誌とかカタログには載ってないと思うけど
なにげにNHKの番組で取り上げられたんだってよ。
最近は芋もブームが一段落してきて
麦もまた注目されつつあるみたいだから
もしかしたらけっこう人気が出るかも。

a k i :
NHKで取り上げられたんですか〜
やりますね〜。
でも『不世出』って
名前からすると
あまり多く造ってなさそうですよね。
むしろ世に出すことを拒んでそうな・・・

マスター:
まぁ名前の字だけで推察すると
そんな感じに見えるけど
ショップの説明では
“不世出”っていうのは
稀にしか世に現れないほど優れている
っていう意味なんだって。
つまりそれだけ美味しいってことじゃないかな。

a k i :
ずいぶん自信たっぷりな名前なんですね。
でもそういう名前をつけるってことは
蔵元も自信満々で出せるほど
美味しく出来上がったってことですよね。
うわ〜、すごく楽しみなんですけど。


☆原料・製法などについて
マスター:
じゃあ、テイスティングする前に
原料と製法について紹介するね。
まず主原料の麦なんだけど
これは裸麦を100%使ってるんだって。
裸麦と言えば有名なのが
幻の麦焼酎『兼八』なんかが挙げられるね。
味わった人は分かると思うけど
独特な香ばしいスモーキーな香りと味わいが特徴的なんだ。

a k i :
へぇ〜、裸麦使ってるんですね〜。
僕けっこうスモーキーで
飲み応えのあるやつ好きなんで
これはすごく楽しみですね〜。

マスター:
麹菌は白麹を使ってて
麹を作る時はあえて旧式の製麹機を使い
手作りにて少量ずつ何回にも渡って作ってるんだって。
少量ずつ何回にもっていうのがポイントで
そうすることで丁寧な品質管理がしっかりできるそうだよ。

a k i :
こだわりが伝わってきますね〜
焼酎造りの基本ですからね。
品質管理は大事ですよね。

マスター:
そのあと、1次仕込み・2次仕込みと
丁寧に仕込んでいって
出来たモロミを常圧蒸留で醸していくわけだ。
そうやってできた原酒は
次に濾過をされるんだけど
麦本来の甘みとか香ばしい香りなんかを
なるべく残したいということで
濾過を最低限に抑えるために
地元臼杵で取れた竹を使った
竹炭で濾過してるんだって。
竹炭っていうのは元々
有害な物質を吸収・浄化する作用があったり
遠赤外線効果があったり
マイナスイオンを発生させたり
消臭効果があったり
色々な効果があるものなんだよね。
だからこの竹炭を使うことによって
焼酎の雑味を吸収したり
余分な臭いを消臭したり
遠赤外線効果とかマイナスイオン効果で
酒質がまろやかになったり
あと竹炭に含まれる天然ミネラルが溶け出して
酒質に深みが出たりするんだよね。

a k i :
竹炭すごいですね〜!
濾過どころか一つの重要な工程ですよ。
それも地産地消の精神による
地元臼杵産の竹炭を使ったおかげですね。

マスター:
で、そうやって竹炭濾過された原酒は
必ず1年以上の貯蔵熟成が行われて
杜氏さんのゴーサインが出たものだけが
加水・瓶詰めされて世に出るわけだ。
本当にこだわり抜かれて造られてる
そんな一本だと思うよ。


☆香りや味わいの特徴
マスター:
じゃあ、香りと味わいの方
ちょっと確かめてみようか。
まずふたを開けてみると・・・
うん、ほのかに甘くて
奥ゆかしい麦の香りが立ってくるね。
裸麦使ったって割には
あんまりスモーキーさはまだ感じられないかな。
どっちかって言うとスッキリした印象だね。

a k i :
どれどれ。。。
ん〜、そうですねぇ
あんまり香ばしさはなくて
甘くてスッキリしてそうな印象ですね。
飲みやすそうな感じですよ。

マスター:
じゃあこれをグラスに注いでみて・・・
おお、ここでようやく香ばしさが来たね。
麦独特の穀物感っていうのかな
乾いた甘さみたいな
そういう原料の香りが強く出てるね。
でもやっぱりそこまで香ばしくないと言うか
炒ったようなスモーキーさはそんなにないかな。

a k i :
そうですね〜
確かに原料の香ばしさと
甘みとかスッキリした感じが
バランス良く香ってきますけど
裸麦の特徴的なスモーキーさが
そんなにないですね。
これはこれで新しいかも。

マスター:
ちょっと一口飲んでみて・・・
ん、これは飲んだ方がスモーキーさを感じるね。
口当たりはけっこう滑らかで
スッと口に入ってくんだけど
舌の上で麦の香ばしさとか
スモーキーさが広がってくる感じだね。
飲み込むとジンワリ喉の奥から熱くなってきて
舌に残る余韻に麦チョコのような
ほろ苦さと甘みが混在する独特の後味を残してるよ。
二口目からは舌の先の方から
麦チョコのようなほろ苦い甘さが感じられて
口の中でじっくり味わえるね。
でもけっして香ばしいだけじゃなくて
スッキリした甘みとかもあるから
けっこう飲みやすいんじゃないかな。


☆お勧めの飲み方
a k i :
うわ〜、ホントに美味しそうじゃないですか〜
僕も早く飲みたいです。
お薦めはどんな飲み方ですか?

マスター:
そうだな〜
とりあえず生でいってみて欲しいかな。
得意な人も苦手な人もまず一口いってみて
この香ばしさとスッキリした甘みを感じてほしいね。
基本的には冷やし系が向いてると思うから
生でいったあと好みでロックにするなり
水で割って飲むのが良いと思うよ。
けっこう芯がしっかりしてるから
水で割ってもしっかりした味わいが楽しめるはずだよ。

a k i :
なるほど〜
じゃあ、いつものあれでお願いしますよ。

マスター:
ああ、ストレートとロックグラスね。
そうくるだろうと思って
用意しておいたよ。
はいよ。



☆購入方法
a k i :
でも、さっきの話だと
これって楽天市場のそのショップじゃないと
買えないってことなんですよね?

マスター:
ん〜、とりあえず私が知る限りでは
そういうことになるかな。。。
でも決して悪い買い物ではないと思うよ。
趣向は個人的なものだから
絶対はないけど
麦焼酎が好きな人だったら
飲んでみる価値はあると思うし
一般的にもかなりバランス良く高品質だから
そこまで嫌煙される酒質ではないと思うよ。
まぁ、ちなみに九州焼酎CLUBさんていうショップなんだけど
ここは送料も525円で比較的安めだし
まとめ買いすれば
送料も無料になるし
けっこうお得なんじゃないかと思うよ。

a k i :
なるほどね〜
そうやってマスターも
まとめ買いして得してるんでしょ〜。
僕も今度まとめ買いしようかな。
これ、気に入っちゃいました。















マスター:
じゃあまぁ、
今夜もあれこれ焼酎について
話しながらゆっくり飲もうか。

a k i :
そうですね。
じゃあ、今夜はこの
素晴らしき『不世出』で乾杯ですね。

マスター:
そうだね。
そして[久家本店]さんにも乾杯だ。

a k i :
乾杯〜〜!

2008.03.20 | | Comments(2) | Trackback(0) | 麦焼酎

コメント

おはようございます。

これは飲んだことないです。

焼酎と日本酒の両方を造ってる蔵って、そんなにないですよね。


毎度ながら、マスターとアキさんの会話形式の焼酎の説明は分りやすいです。

この時期?だし、さかのぼって赤霧島の記事も読み返しました!

2008-03-31 月 08:45:56 | URL | 山ちゃん #- [ 編集]

『不世出』美味しいですよ☆

コメントありがとうございます☆
焼酎メインの蔵が日本酒を造るってのは
あまりないと思いますけど
日本酒蔵が、日本酒造りの終わった閑散期に
酒粕を利用したり、ちゃんともろみを作って
焼酎を造るというのは
けっこうあるみたいですよ。
まぁみんなほぼ米焼酎ですけどね。

確かにこの時期は『赤霧島』出ますよね。
僕も記事を読み直しながら
一杯やろうかな☆

2008-04-01 火 13:53:52 | URL | aki #- [ 編集]

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[秘-蔵]について

○話の設定○
東京は下町の向島で、ひっそりと隠れるように焼酎バーがあります。マルチ焼酎バー[秘-蔵](ひめ-くら)。そこで夜な夜なマスターとアルバイトが、様々な焼酎を飲んでは研究に明け暮れているんだとか。ここはそんな[秘-蔵]での研究レポートを少しずつ紹介していきます。それでは、話に登場する人たちを紹介していきましょう☆

○主な登場人物○
☆マスター
向島にあるマルチ焼酎バー[秘-蔵]のマスター。 焼酎アドバイザーで焼酎マニア。 かなりヲタク。 お店には500銘柄以上品が揃っているんだとか。 ・好きな食べ物は馬刺し ・好きなアーティストはMr.children桜井和寿。 ・好きな銘柄は『熟柿』『白天 宝山』『霧島町蒸留所』 ・得意なスポーツはスノーボード ・趣味は焼酎集め。
☆aki
[秘-蔵]でアルバイト的なことをしてる常連客。 最初は客でよく飲みに来ていただけだったが、エスカレートしてバイトみたいなことまでしてるんだとか。 ・好きなタレントは志田未来、小西真奈美。 ・好きな本は『命あるもの。』 ・好きな銘柄は『屋久の石楠花』『長雲 長期熟成貯蔵』『宮之鶴』 ・学生時代はワンダーフォーゲル部で山をよく登っていたらしい。 ・趣味は焼酎研究。 ・沖縄旅行が大好き。

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